生活習慣を見直そうと考えたときに、最も重要な項目の一つが食生活です。食生活を見直すと言っても、まず何から改善したらいいのか迷ってしまいませんか?そんな方は、まず食物繊維を意識的に摂取することから始めてみてください。食物繊維は健康の根本を支える優秀な栄養素なのです。今回は、食物繊維が体にもたらす効果と、摂取方法をご紹介していきます。
食物繊維は2種類ある
食物繊維はその特性から水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類に分けられます。どちらも健康維持に重要な役割を持っていることは確かですが、全く違う特性を持っています。
水溶性食物繊維
水に溶けやすい食物繊維で、溶けるとゼリー状になります。昆布やわかめなど、ぬるぬるした成分に含まれているのが水溶性食物繊維です。脂質や糖質の吸収を穏やかにして、血糖値の急上昇を防ぐという効果があります。糖尿病や肥満、高血圧の予防に効果的な栄養素でもあります。
不溶性食物繊維
水に溶けにくい食物繊維で、ごぼうなどの根菜類に多く含まれています。不溶性食物繊維が腸内で水分を吸収し、便の体積を増やします。便の体積が増えることで腸内壁を刺激しやすくなり、便を排出する蠕動運動を促進することになります。便秘予防に役立つのは、主にこの不溶性食物繊維の方です。
食物繊維が不足すると
食物繊維が慢性的に不足していると、特に胃腸関係の不調が出やすくなります。腸内の便を上手く排出できないことで便秘になり、毒素を溜め込み続ける体になってしまいます。それがきっかけで大腸がんになったり、免疫力が低下して風邪を引きやすくなったり体調を崩しやすくなってしまいます。腸内環境が悪いので、肌荒れや冷え性といった不調も出やすい体質にもなります。食物繊維が少ない食事は血糖値も上がりやすいので、太りやすい上に糖尿病のリスクも高いです。健康面でも美容面でも、かなりのダメージを負うことになってしまいます。
食物繊維の効果
食物繊維を意識的に食生活に取り入れることで、体にはどんな変化が期待できるのでしょうか。食物繊維が持つ効果についてご紹介していきます。
排便をスムーズにする効果
食物繊維の代表的な効果といえば、便秘の改善に関することですよね。前の項目でもご紹介しましたが、不溶性食物繊維は水分を吸収することで便の体積を大きくします。さらに、水溶性食物繊維が加わることで便が硬くなりすぎることを防ぎ、スムーズな排便に繋がります。水分をあまり摂取せずに、食物繊維ばかりをたくさん摂取しすぎると、かえって便秘を悪化させてしまうこともあります。必ず十分な水分摂取も同時に行うことが大切です。
高血圧を予防する効果
高血圧になってしまう一番の原因は、血中の塩分濃度が高くなることです。水溶性食物繊維には、血中のナトリウムを包み込んで外に排出するという作用があります。すると、血中の塩分濃度が下がるので、高血圧が予防できるのです。
コレステロール値を下げる効果
コレステロール値が高すぎると、高血圧や動脈硬化など生活習慣病に繋がります。そこから脳梗塞や心筋梗塞に繋がる恐ろしい病態です。食物繊維は、体内の消化酵素では消化しきれない栄養素なので、コレステロールを吸着して共に外に排出してくれるという効果があります。結果、悪玉コレステロールの値が下がり、動脈硬化などのリスクも軽減できます。

ガン発生のリスクを軽減する効果
特に大腸がんのリスクを軽減するのに効果的です。大腸がんが発生する一つの原因として、腸内の悪玉菌の増殖があります。食物繊維は便の排出を促し、悪玉菌が増殖しやすい環境を未然に防ぐことに役立ちます。有害物質が体内に吸収されることも防いでくれるので、結果的に大腸がん発生のリスクを下げることが出来るのです。
糖尿病を予防する効果
特に水溶性食物繊維は、糖質の吸収を穏やかにする効果があります。急激に糖質が体内に入ってくることで、血糖値が一気に上昇し、インスリンが大量に分泌される反動として糖尿病になります。食物繊維を一緒に摂取していれば、血糖値の急激な変動を抑えることができるので、糖尿病発生の危険性を下げることができます。
免疫力を高める効果
食物繊維は、腸内で善玉菌のエサになります。腸内環境が整うことは、免疫力を高く保つのに最も重要なことです。常に善玉菌が優位な状況を作れるので、免疫力が上がり、風邪を引くことや、原因不明の体調不良が少なくなります。
肥満を予防する効果
食物繊維を摂取することで、体内で水分と合わさったときにかさが増えます。少ない食事量でも満腹感が得られるようになるので食べすぎを予防でき、肥満の予防にも繋がります。

食物繊維が多く摂取できる食品
食物繊維が多く摂取できる食品を意識的に取り入れて、不足しがちな摂取量を補うようにしていきましょう。
水溶性食物繊維が多い食材
- わかめ
- 昆布
- 納豆
- アボカド
- オクラ
- モロヘイヤ
- にんにく
- エシャロット
主に海藻類や野菜類に多く含まれています。ねばねばした食材には水溶性食物繊維が多いと考えてよさそうです。また、飲み物では抹茶やミルクココアにも比較的多く水溶性食物繊維が含まれています。調味料ではカレー粉に多いので、上手く組み合わせて食事に取り入れていきたいものです。
不溶性食物繊維が多い食材
- インゲン豆
- おから
- あずき
- 大豆
- 納豆
- モロヘイヤ
- さつまいも
- しらたき
主に豆類や穀物類に多く含まれています。その他、きくらげやしいたけなどのキノコ類にも全般的に多く、みそにも不溶性食物繊維が含まれています。味噌汁にキノコを具として入れると摂取しやすいでしょう。
まとめ
生活習慣を改善するのに、何から何まで一気に変えるのはとても大変です。まずは簡単に変えられる食生活で、食物繊維の摂取から見直してみてください。生活習慣病予防など健康を維持増進することはもちろん、ダイエットなど美容の観点からみても食物繊維の摂取は大切です。普段の食事では不足しがちな栄養素ですから、サプリメントの活用も視野に入れて、根本的な改善を目指していきましょう。
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