鉄分は不足すると貧血の原因になりますが、特に女性の間で鉄分不足に陥るケースが多いことがわかっています。それでいて、女性には鉄分がとても重要な栄養素でもあるので、実は普段の生活の中から不足させないように意識する必要があるのです。そこで今回は、女性が鉄分不足になりやすい理由と、女性にとって鉄分が重要である根拠についてご紹介していきます。
鉄分が不足している現状がある
現代の食生活では、食べたいものがすぐに食べられるので深刻な栄養不足に陥ることは少なくなってきています。しかし、その中でも鉄分は不足しやすい栄養素の代表例で、偏食や欠食などによって慢性的な鉄分不足を起こしている人々も多いのです。特に男性よりも女性の方が鉄分不足になりやすい傾向があり、その原因としては月経によって血液を失う機会が多いことが考えられます。鉄分は血液を構成している大切な成分の一つであり、ヘモグロビンの材料でもあります。ヘモグロビンの大きな役割は酸素の運搬ですから、鉄分が足りなくなることで全身に十分な酸素供給をすることが難しくなってしまうのです。これが貧血という病態で、実は危険な状態でもあるのです。
女性にとって鉄分は重要
男性はもちろんですが、女性の方が鉄分の重要度が高いという理由があります。
生理があるから
男性に無くて女性にある決定的な違いと言えば、生理があるかないかです。生理が来るたびに起こる出血のことを経血と呼びますが、経血の量は20mlから140mlと言われています。これには個人差があるため確定的な表現が出来ませんが、男性よりも血が失われる機会が圧倒的に多いことは明白です。これが毎月やってくるわけですから、血液のヘモグロビンに含まれる鉄分も毎月大量に失われていくと考えられます。

妊娠出産の過程で鉄分が重要になるから
妊娠すると、大量の血液が必要になります。それは当然、本人の体だけでなく胎児の体を成長させるうえで血液が必要だからです。鉄分を摂取することで造血機能が活性化されるので、胎児の正常な発育をサポートすることになります。さらに、臨月に近くなってくると妊娠していない時とくらべて血液量が30%ほど多くなります。その結果、元々母体に貯蔵されていた鉄分もどんどん消費されていくので、貧血が多く起こりやすくなるわけです。これを考えれば、妊娠前や普段から鉄分を十分に摂取しておくことで胎児はもちろん自分の身を守ることにも繋がることがわかります。
鉄分を摂取する方法
鉄分を摂取する方法は、大きくわけると2つで、一つは3食の中でしっかり鉄分が多く含まれる食材を取り入れること。そしてもう一つは、サプリメントを活用することです。
鉄分は2種類ある
鉄分はヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があり、どちらも働きは同じです。大まかに分けると、ヘム鉄は肉や魚などの動物性のタンパク質に多い傾向があり、非ヘム鉄は野菜を中心とした植物性の食材に多い傾向があります。ヘム鉄の吸収率は約30%で、非ヘム鉄の吸収率は約7%です。鉄分の吸収という観点だけで見れば、ヘム鉄を多く含んでいる食材を選んだ方が効率的と言えます。しかし、ヘム鉄を含む食材だけに絞るとその他の栄養バランスが偏るので、非ヘム鉄が中心となっている食材でも積極的に取り入れるべきです。
成人では1日10mgの鉄分が必要
食事摂取基準を参考にすると、成人に必要な鉄分の量は1日で10mgです。妊娠中はもっと多くの鉄分を必要とするので、20mgを目安に摂取していきます。しかし、前述のように鉄分の吸収率は高くても30%という低い数値になっています。10mgの鉄分を摂取するには、約30mgの鉄分を食事から摂取し続けないといけません。鉄分が比較的多い豚レバーの含まれる鉄分の量が、100グラムあたりで約13mgなので、豚レバーでいうと1日あたり250グラム程度は必要という計算になります。肉類でこの数字なので、野菜などでいうともっと大きな量になってしまいます。そのため、食事だけでなくサプリメントも一緒に活用して不足分を補うことが必要なのです。

鉄分を多く含む食材
- かつお
- マグロ
- あさり
- アナゴ
- イワシ
- 鮭
- 牡蠣
- 菜の花
- ホウレン草
- ゴーヤ
- サツマイモ
- オレンジ
- メロン
- 柿
- レバー
- ひじき
鉄分を多く含む食材は、牡蠣を含む魚介類が中心になります。あとは、代表的なレバーなどの肉類です。菜の花やホウレン草といった、スーパーなどで簡単に手に入る食材にも鉄分が多いものがあります。これらの食材は、比較的鉄分を多く含んでいるので、特に女性は毎日の食事で意識的に摂取していきたい食材です。近年ではどの食材も1年中手に入れることができますが、できればその時期の旬の食材を選んだ方が鉄分をはじめとする栄養価が高いです。例えば、イワシや鮭は秋が最もオススメですし、牡蠣や小松菜は冬が旬なので栄養価も高いです。旬なものは栄養価が高いだけでなく、味も美味しいので食事がより一層楽しくなります。
ビタミンCやタンパク質と組み合わせると効果アップ
鉄分は吸収率が低いので、なるべく吸収率をアップさせるような食べ合わせをすることがカギになります。そこで役立つのが、ビタミンCとタンパク質で、同時に摂取することを心がけてください。ビタミンCはイチゴやアセロラなどの果物類、キャベツなどの野菜類に多く含まれています。タンパク質は肉、魚、卵、大豆などの食品で、特に魚にはDHAやEPAといった血流を改善するのに役立つ栄養素が含まれているのでオススメです。また、胃酸の分泌が促進されることで鉄分の吸収率はアップします。酸っぱい物や辛い物を上手く取り入れられると、胃酸の分泌も活発になって相乗効果が得られます。お酢や梅干し、カレーなどの香辛料が該当します。
ビタミンB12と葉酸も組み合わせると良い
鉄分を摂取する目的は赤血球の形成なので、そのために必要なビタミンB12と葉酸も一緒に摂取すると、赤血球の形成がとてもサポートされます。ビタミンB12はサンマやアサリ、葉酸はホウレン草などに多く含まれています。
まとめ
鉄分は、人間の健康や美容を大きく左右する血液に関わるとても大切な栄養素です。よく貧血になるという方は、まず鉄分が足りていないということが考えられるので、食事を見直すことはもちろんサプリメントの活用も視野に入れて、生活習慣を改善していきましょう。
この記事へのコメントはありません。