ビタミンDはもちろん食品から摂取できる栄養素ですが、日光を浴びることで人間の体内でも作り出すことができるビタミンでもあります。あまりにも日光とは無縁の生活をしていると、ビタミンDの生成機能が働かずに不足してしまうケースも考えられるのです。そんなビタミンDは、丈夫な骨を作ることなど健康に大きく関与しています。そこで今回は、ビタミンDの働きと食品からの摂取方法をご紹介していきます。
ビタミンDが不足すると体には何が起こる?
ビタミンDの効果や摂取方法を見る前に、不足するとなぜ良くないのかをご紹介しておきます。
骨がもろくなる
ビタミンDの欠乏はカルシウムの欠乏に繋がるので、骨がスカスカで脆くなってしまいます。ビタミンDは腸管や腎臓においてカルシウムを吸収しやすくする効果を持っていて、ビタミンDが不足してしまうことで低カルシウム血症に陥ってしまいます。カルシウムは骨を作るタンパク質を繋ぎとめる役割をしているので、不足すると骨が軟化して曲がってしまったり、くる病などの成長障害を起こしたりするのです。骨粗鬆症のリスクも上がるので、生活の質が大幅に低下してしまう恐れもあります。
免疫力機能が上手く働かなくなる
ビタミンDが体内に入ってきた病原菌やウイルスに対する免疫反応を調節する役割を持っているので、不足してしまうと免疫機能が上手く働かなくなります。菌やウイルスなどの異物が侵入してきた場合、その異物に対して最も適した免疫を働かせるように調節しているのがビタミンDなのです。インフルエンザの罹患率や、肺炎などの感染症の悪化など、様々な病気発生のカギを握っています。

ビタミンDをしっかり摂取する方法
ビタミンを体内で不足させないようにするためには、ビタミンDを多く含む食品を毎日の生活で取り入れることと、運動習慣などが大切です。ビタミンDを体内で増やす方法をご紹介していきます。
日光に当たる時間を作る
ビタミンDは紫外線に当たることによって皮膚で合成することも可能です。そのため、毎日どこかのタイミングで外に出る方や、昼夜逆転の生活が長年続いているということでない限りは、不足することは無いはずです。しかし、近年の美容では肌の白さを求める傾向が強く、日焼け止めや過剰な紫外線対策の影響もあってビタミンDの合成がしにくくなっているのも現状です。1日10分程度でも良いので、日光の当たる時間帯に外に出ることが有効なビタミンD不足対策になります。注意点としては、日焼けサロンなど人工的に作り出した紫外線ではビタミンDが合成できないという点です。朝起きた時にとりあえずカーテンを開けることでも良いので、1日1回は日光に触れる機会を作りましょう。
ビタミンDを多く含む食品を取り入れる
- きくらげ
- 鮭
- いわし
- メカジキ
- 牛レバー
- 卵黄
- ヨーグルト
これらの食品はビタミンDを比較的多く含んでいます。全体的にはタンパク質が主な成分になっている食品に多いのが特徴です。鮭やいわし、メカジキなどの魚類に多いので、メインとなるおかずを決めるときには魚類を中心にすると良いでしょう。魚類にはDHAやEPAといった魚でしか得られない栄養素もあるので、代謝を高めてビタミンDの効果を高めることも期待できます。また、ヨーグルトや牛乳などの乳製品にもビタミンDが多いので、朝食などに活用してみてください。アーモンドミルクなど、乳飲料に該当するものには含まれています。
サプリメントを活用する
サプリメントを活用するのも賢い栄養管理方法です。ビタミンD単体で構成されているサプリメントよりも、カルシウムなどその他のミネラルと一緒に摂取できるような成分だとかなり良いです。というのも、ビタミンD単体で体に有効であるというよりは、カルシウムを吸収しやすくして骨の健康を保つなど、ミネラル代謝をサポートする役割を持っているからです。ただ、ビタミンDは脂溶性ビタミンなので水溶性ビタミンと違って水分と一緒に流失していくことはほとんどありません。あまりにもビタミンDを過剰摂取してしまうと、高カルシウム血症からのカルシウム沈着が起こり、食欲不振や神経障害、腎機能障害に繋がる恐れもあります。サプリメントを大量に飲むようなことはせず、あくまでも食事でカバーしきれない部分を補うものとして活用してみてください。
マグネシウムと一緒に摂取する
マグネシウムがないと、体内でビタミンDを活用できる形に変換することが出来ません。
- まめ
- ごま
- ひじき
- のり
これら昔からある日本食で、ご飯のお供や小鉢のおかずに使われるような食材にマグネシウムは多く含まれています。サプリメントでもマグネシウムが一緒に配合されていると良いので、ぜひチェックしてみてください。

ビタミンDがもたらす効果
ビタミンDは主に骨の健康や免疫調節の役割を担っていますが、他にも生活習慣に関わる効果を持っています。
若々しい肌を保つ
日光によって皮膚で合成することができるビタミンDは、殺菌作用を持っています。そのため、肌荒れの原因となるような菌類の活性を抑えてくれる効果が期待できます。さらに、肌のバリア機能を高めてハリやツヤを保つのにも役立ちます。保湿力も上がるので、肌の美容において最も厄介な乾燥対策にもなるのです。
うつ病の予防に繋げる
ビタミンDが不足することで免疫機能が妨げられることや、うつ病のリスクを高めることが知られています。近年ではうつ病患者数が増えていますが、そのほとんどがストレス性のものなどハッキリとした原因がわかっていません。ビタミンDの欠乏によってうつ病のリスクを高めていることは気づきにくいので、生活習慣でほとんど部屋の中にいるという場合は生活サイクルを見直すこと必要があります。
糖尿病の予防と改善に役立つ
ビタミンDがインスリンの分泌を促進することがわかっています。インスリンは上がりすぎた血糖値を正常に戻すためのホルモンであり、すい臓から分泌されます。ビタミンDがすい臓に作用し、インスリン分泌を促すのです。その結果、血糖値の急激な上昇を防いで糖尿病のリスクを軽減してくれます。
まとめ ビタミンDは骨の健康だけでなく、美容から生活習慣病まで様々なことに関わっている栄養素であります。人間の根本的な若さや健康を増進するのに不可欠な栄養素なので、食事やサプリメント、日光に当たる習慣などを見直して不足させないように心がけてみてくださいね。
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