カルシウムは女性が特に不足しやすく、食事から意識的に摂取することを心掛けないといけません。そこには女性ならではのホルモンバランスの関係や、年齢と共に起こる体の変化が関係しています。カルシウムの効果といえば骨を強くすることが真っ先に思い出されるかもしれませんが、実はそれだけではなく肉体的にも精神的にも様々な影響をもたらします。そこで今回は、特に女性がカルシウム不足になりやすい原因と、カルシウムが体にもたらす効果についてご紹介していきます。
女性の方がカルシウム不足になりやすいのはなぜ?
カルシウムはもともと体重のおよそ2%程度含まれている栄養素で、数あるミネラルの中で最も多い割合を占めています。それだけ重要な栄養素であるカルシウムが、なぜ女性の方が不足するリスクが高いのでしょうか。
元々吸収率が高くない
カルシウムが体内に吸収されるのは小腸ですが、食べたカルシウムがすべて吸収されていくわけではありません。カルシウムの吸収率はおよそ20%~30%と言われていて、決して高くない数値なのです。1日の必要量として、日本人の食事摂取基準からいくと18歳以上の女性では650mgのカルシウムが必要です。単純に考えれば、1000mgのカルシウムを食事から摂取しても300mg程度しか吸収されないわけです。1日の食事摂取基準を満たすためには、少なくとも1日のうちに2000mg以上のカルシウムを摂取しなければなりません。牛乳200グラムに含まれるカルシウムがおよそ220mgであることを考えれば、その必要量の多さがイメージできるでしょう。
閉経後にカルシウムが失われやすくなる
カルシウムを多く貯蔵している体の器官と言えば、骨ですよね。骨はおよそ90日間を1周期として、骨細胞を入れ替えています。代謝によって、古い細胞と新しい細胞を入れ替えているのです。カルシウムも、骨形成といって骨にカルシウムを取り込む仕組みと、骨吸収といって骨からカルシウムを溶け出させる仕組みを常に繰り返しています。身長が伸びている間など成長期においては、骨形成の量が骨吸収の量を上回るので全体的な骨量は増加していきます。しかし、閉経後においては骨吸収の量が骨形成の量を上回るようになってしまうので、年齢と共に少しずつ全体的な骨量が減少してしまうのです。
カルシウムが不足すると
カルシウムが不足すると、ある特徴的な症状を引き起こすことがあります。
骨粗鬆症
カルシウム不足の最も代表的な例はやはり骨粗鬆症です。骨吸収の量が骨形成の量を上回った状態が長期間続いてしまうことで、骨の構造がスカスカになってしまいます。骨密度が減少してしまうので、骨粗鬆症になって脆い骨しか形成できなくなるのです。
筋肉の痙攣
カルシウムは筋肉の力を正常に発揮させることにも役立っていて、不足することで筋肉活動に大きな影響を及ぼします。その代表的な例がテタニーという筋肉の痙攣や、てんかん発作などの全身の痙攣です。カルシウムが不足することで制御がきかなくなり、神経が異常に興奮して痙攣を起こしてしまうのです。食事からカルシウムが摂取できていないことが原因というよりは、副甲状腺機能低下症など病的な症状として現れることが多いです。
カルシウムの効果
カルシウムが体の中でどんな働きをしているのか、ご紹介していきます。
骨や歯を強くする
カルシウムが骨や歯の構成要素となっていることはほとんどの方がご存知だと思いますが、骨や歯はカルシウムだけで構成されているわけではありません。カルシウムは、タンパク質を繋ぎとめる存在なのです。骨を家だと例えると、木材など家ほ骨組みを作る資材がタンパク質で、釘やネジなどそれらをつなぎ合わせる材料がカルシウムであると言えます。カルシウムが十分に摂取できていることで、骨を構成しているタンパク質を強固に接着することが出来ます。そのため、骨や歯を丈夫にすることに繋がるのです。
筋肉活動を正常にする
カルシウムは、血中にも含まれています。血中のカルシウムが、脳と筋肉の間の神経伝達をスムーズにする役割を果たしているのです。カルシウムイオンの濃度が変化することをきっかけにして筋肉が収縮や弛緩を行う仕組みになっているので、カルシウムが十分に足りているということは筋肉活動が正常に行われやすいということです。筋トレなどのように意識的に筋力を発揮するときはもちろん、姿勢の維持など無意識のうちに発揮される筋力もカルシウムが支えているので、非常に重要な存在でもあります。
カルシウムとイライラは関係する?
女性の方がホルモンバランスの変化が激しいですし、精神的にも不安定になりやすい傾向があると言えます。カルシウムが不足していることと、イライラしやすくなることが関連付けられて語られることも多いですが、実際はカルシウムが直接的な原因になっているわけではありません。カルシウムが神経伝達に関係していることや、血中のカルシウム濃度が低下する症状が起こる病気で精神が不安定になることがあるので、そこから招かれた誤解とも言えます。実際は、ホルモン分泌の異常やビタミンDが不足することによって起きる症状で、精神症状と低カルシウム血症を起こしているのです。ですから、カルシウム不足がきっかけとなってイライラするというのは、語弊があるということです。
カルシウムを多く含む食べ物
●牛乳
●ヨーグルト
●チーズ
●豆腐
●納豆
●ししゃも
●ひじき
●さくらえび切り干し大根
●小松菜
これらの食材はカルシウムを比較的多く含んでいます。代表的な牛乳をはじめとする乳製品はもちろん、ししゃも、豆腐といったタンパク質系の食品に多いことがわかります。他にも、小松菜などの野菜類にもカルシウムが含まれているので、料理などにうまく取り入れたいところです。カルシウムを体内で活用できる形に変換するにはビタミンDが必要なので、日光にあたることによって体内でビタミンDを生成するか、きのこ類などビタミンDを多く含む食材と一緒に食べると効果的です。
まとめ
カルシウムは特に女性の体内で不足しやすい傾向があるので、閉経後やそれに近い年齢になってきたら更に意識的に食事から摂取する必要があります。日々の筋肉活動においてもカルシウムを消費するので、今から習慣づけておけると良いですね。
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